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印刷用紙の規格とサイズ

A判・B判、そして日本独自の規格

印刷物を制作する際に欠かせない要素の一つが用紙のサイズです。多くの人が日常的に利用する印刷用紙のサイズには、A判やB判といった規格のほか、日本独自の規格も存在します。それぞれのサイズには、独自の歴史や背景があります。この記事では、これらの規格について詳しく解説し、そのサイズになった経緯や利便性についても紹介します。

用紙の基本規格

用紙の基本規格

A判(Aシリーズ)
Aシリーズは、ISO 216という国際規格に基づいており、日本ではA判として最も広く使用されている用紙規格です。A0を基準に、それを半分に折ることで次のサイズになるという設計がされています。
A判の最大の特徴は、どのサイズでも縦横比が1:√2(約1:1.414)であることです。この比率により、用紙を縮小・拡大しても縦横比が保たれるため、書類や印刷物のサイズ変更が容易です。A判の起源は、1922年にドイツの学者ヴィルヘルム・オストヴァルトが提案したもので、効率的かつ無駄のない面積の使い方が評価され、国際的な標準となりました。

B判(JIS)
B判(JIS)は、日本国内での使用が特に多いサイズです。A判よりも一回り大きい(約1.22倍)のが特徴で、B0を基準として、A判と同様に次のサイズは半分になります。
日本では雑誌や書籍の印刷、ポスター広告によく使用されます。B判もまた縦横比が1:√2であるため、サイズ変更の際に扱いやすい利点があります。また、日本のB判は日本工業規格(JIS)の定めた日本独自のサイズで、別の、Bシリーズ(国際規格ISO 216)も存在します。日本ではまず使われませんが、B0サイズは1000mm×1414mmとなります。

A判・B判サイズ表

A判・B判サイズ表

日本独自の用紙規格

日本独自の用紙規格

菊判(きくばん)
菊判は、日本で伝統的に使われてきた印刷用紙の規格で、書籍や文庫本の印刷によく使用されます。菊判は、もともと書籍の製本に適したサイズとして用いられ、日本の出版文化に深く根ざしています。

菊判:636mm×939mm
菊判(小型):151mm×222mm

四六判(しろくばん)
四六判もまた、日本で一般的に使用される用紙サイズです。雑誌や書籍の印刷に多く用いられます。四六判は、江戸時代に輸入された洋紙のサイズから発展したもので、主に書籍に使われることから、内容を充実させた本にぴったりのサイズとされています。

四六判: 788mm×1091mm
四六判(小型): 127mm×188mm

4×8(しはち)判サイズ
紙より、板状に使われる規格です。4尺×8尺から来ているサイズです。当社ではパネルの仕入れで用いる規格サイズです。

サイズ: 1219mm×2438mm(1200mm×2400mmと表示している事も)

3×6(さぶろく)判サイズ
同じく、紙より、板状に使われる規格です。3尺×6尺から来ているサイズです。パネルの仕入れで用いる規格サイズです。ポスターチャンネルの超大判パネルはこのサイズが最大値となっています。

サイズ: 914mm×1829mm(900mm×1800mmと表示している事も)

ハトロン判
「ハトロン」という名称はドイツ語の『パトローネン・パピア』「薬莢(やっきょう)を包む紙」という意味から由来しているとか。第2次世界大戦頃に用いた「ハトロン紙」のサイズが起源とされています。
この名称を用いる事は少ないですが、今も、大判ポスターや包装紙で用いられる規格サイズです。

ハトロン判: 900mm×1200mm

名刺や郵便ハガキのサイズ

名刺サイズ
サイズ:91×55mmが一般的です。
外国の名刺より若干長辺が長いのが特徴です。諸説ありますがこれは、外国から名刺の文化が伝わった明治初期、日本の当時の寸法(単位)に合わせた時「3寸」がもっとも近似しており、91mmとなったとか。その黄金比「1:1.618」として短辺が55mmとなり、今のサイズに至るとのこと。
また、もう一つの説として、当時日本の文字文化は縦書き、そのため、名刺も縦で使用していました。
名刺に情報を多く載せたいため、外国から伝わったサイズより縦長になったとか。あくまで諸説ですが。
外国の名刺のサイズは、アメリカは「89mm×51mm」が主流で、ヨーロッパでは「85×55mm」、「90×50mm」が一般的です。

通常ハガキ
サイズ:W100×H148mmが一般的です。
日本郵便の規定で通常ハガキとして送れるサイズは、最小140×90mm~最大154×107mmとなっています。日本郵便で販売される通常ハガキ、年賀状はW100×H148mmのサイズです。郵便局で販売しているハガキを、昔は官製ハガキと言っていましたが、郵政民営化のため「官」ではなくなり、通常ハガキまたは郵便ハガキと言っています。ややこしいですね。他社のハガキ印刷サイトでは、区別をつけるため、あえて官製ハガキと言っている場合もあります。

現在の通常ハガキサイズになった経緯を調べてみました。A6サイズ(105×148mm)と比べ5mm違いますね。ここからは諸説になりますが、日本のハガキは元々「丁半」(ちょうはん)単位から来ている説があります。そう、あの「丁半博打」の「丁半」です。江戸時代「丁半」の概念が単位として使用され、帳簿や便箋などにも使われたとか。比率は2:3だったようです。
その後、昭和初期では(いつからかは不明)、140×90mmとなり(今の最小サイズ)、昭和39年に万国郵便連合において、国際基準として、今のW100×H148mmに決まったとの事(これは一般の方の情報を引用)。と、ここまで筆者が調べましたが、結局5mm違う理由は不明でした。。

新聞のサイズ

新聞のサイズ

ブランケット判
縦545mm×横406mm。日本の一般的な新聞の1ページのサイズです。サイズの由来は、読みやすさや部品のサイズなど、色々な要素でこのサイズになったとか。日本独自のサイズです。「ブランケット」の名前の由来は「布」のブランケットではなく、印刷機に使われている部品の名前だそうです。

タブロイド判
縦406mm×横272mm(日本)。ブランケット判を半分にしたサイズです。でもこれは日本の場合のサイズで、欧米では、縦431.8mm×横279.4mm(地域で誤差あり)となります。
タブロイド判の起源は、20世紀初頭のイギリスにまで遡ります。当時、大衆向けの簡潔でインパクトのある記事を重視した新しいタイプの新聞が登場し、そのサイズが定着しました。コンパクトなサイズで、通勤中に片手で読める手軽さが人気を集め、次第に世界中に広まりました。
日本と欧米でサイズが違うのは、日本独自の規格が定着した事と、印刷機の規格が違う事のようです。

最後に

今回の記事は、ポスターチャンネルにおいて、直接関係のない内容も含みましたが、印刷業界におけるサイズの規格について筆者なりに調べたところ、興味が湧きましたので、記事とさせていただきました。
他にも、写真を現像するL判やキャビネ判など調べたいサイズ規格がまだまだありますが、今回は、ここまでといたします。お読み下さった方、ありがとうございます。