カンプデータって必要?
カンプデータ=仕上がりイメージ見本。その重要性。
ポスターチャンネルでは、入稿時「見本あり」「見本なし」が選べます。「見本なし」=カンプ(仕上がりイメージ画像)が不要という意味ではありません。
今回はカンプ(仕上がりイメージ見本)の重要性を解説します。
カンプ(見本)とは?
ポスターチャンネルでは入稿時「見本」と言っていますが、デザイナーによっては「カンプ」とも言います。また、ニュアンスが少し違いますが「プルーフ」と言われる方もいます。筆者は「カンプ」と言っています。
「カンプ」=デザインやレイアウトを含めた制作物の完成見本のこと。
以前はネット印刷ではなく、CD-RやMO、フロッピーディスクで印刷会社に届けて入稿していました。その当時からカンプ(出力見本)の添付を必ず求められます(カンプが無いと入稿できない場合もありました)。
最大の理由は、データとの確認、印刷物との確認ができる事です。この「見本」が基準となります。
では印刷会社側は、具体的にどのような所を見ているのでしょうか?筆者の私見もありますが、以下を見ています。
1.デザイン(データと同一か?間違ったデータを送っていないかを確認)
2.サイズの確認(これもデータと同一かを確認します。大変重要です。)
3.サイズの縮小率(無明記であれば、データは原寸と判断します。1/10縮小や50%縮小など。記載が無いと事故になる場合があります。)
4.色数(ポスターチャンネルでは不要ですが、オフセット印刷の場合、必須です。CMYK、DIC、PANTONEなどを確認します。特色の場合、データもカスタムカラーに変更しましょう)
5.データ作成日(必須ではありませんが、再入稿や、増刷などの際、最新のデータか分かるため。)
6.他の必要情報(白版、カットライン[実際に線が見えればOK]、再入稿/校数の表記など。)
カンプ(見本)は、印刷をする側へのメッセージとなります。見ただけで情報が揃っている事が前提となります。大きな事故を防ぐためにもカンプを入稿データに添えましょう。
ポスターチャンネルの見本について
ポスターチャンネルでは「見本あり」、「見本なし」の選択があります。ただ少しニュアンスが違います。
「見本あり」=入稿データ(Adobe Illustrator)の場合、デザイン確認用の見本となります。必須と思ってください。
サイズや仕様は注文時、入力いただいているため、入稿データと見本に差異がないか、パソコンの環境によって色に差が出ていないかなどを確認します。見本(カンプ)は、Jpegデータを推奨
「見本なし」=PDFやJpeg等の画像形式の入稿データの場合、そのまま「見本」となります。(伝達事項があれば別途見本を添付して問題ありません。フォルダに入稿データと合わせてZIP圧縮を。見本のデータ名は分かるように。)このように「見本なし」は、データそのものが「見本」になるので問題ないとしています。
本来、「見本」はどの入稿でも必須となります。当サイト以外に入稿される場合も「見本」を求められるケースが多いです。
深掘り!カンプ(見本)の重要性
主にAdobe Illustrator(以降イラレ)での入稿ですが、お客様のイラレの環境と当サイトのイラレの環境は同じとは限りません。
当サイトでは、最新のイラレにしていますが、お客様のご都合でCC(レガシー)やCS6、CS5で入稿される方もいらっしゃいます。その際、バージョンの違いによる不具合が発生する事もあります。
※補足:最新のイラレは、不具合が多いため、データ確認用のイラレは、Adobe Illustrator 2024 を使用しています。
例えば「フィルター機能」、「透明効果」はバージョンによって効果が変わる事もあります。また、カラープロファイルで色が変わる場合もあります。(いずれも低確率ですが)
そんな時、見本があれば、違いを見つけられる事ができます(絶対ではありません)。印刷前に不備を見つけられると、その後の対応も早くなります。
ただし、文字校正は行っておりません。印刷者側としてそこまでの責任は持つことができないからです。明らかに誤植と分かった場合は問い合わせをする場合もございますが、校正は当サイトの作業に含まれませんのでご理解ください。あくまで気づいた場合に限ります。
しかし印刷上の不備(リンク漏れ、アウトラインNG、サイズ違い)など、印刷に支障がある項目はチェックいたします。
▶︎Adobe Illustratorアプリケーションの不具合
上記でも補足しましたが、Adobe Illustratorのアプリ自体にも意外と不具合が発生します。2025年7月現在で特定のフォントが別のフォントに勝手に変わる現象が起こっています。筆者もVer.29.6.1においてフォントが入れ替わり大きな事故が発生するところでした。Ver.29.7.1になった際は、トラッキングが機能しなくなりました。入稿時にチェックする際、予想外の事が起きる可能性もあります。それを防ぐためにも「見本(カンプ)」が必要となります。
カンプ(見本)が無かった時のリスク
ポスターチャンネルや他の印刷会社も含めてカンプ(見本)がない場合のリスクについて解説します。
1.違うデザインを印刷。(違うデータを間違って入稿してしまい発生する事故)
2.想定したフィルタ効果、透明効果になっていない。(印刷する側は分からない現象。オーバープリントも注意)
3.出力サイズが間違っている。(データサイズで印刷するため、データサイズが間違っていると事故となります。また、縮小比率が分からないと起こる事故です)
4.特色で印刷されていない。(DICやPANTONEの記載がない場合、そのままCMYKで印刷されるリスクがあります)※オフセット印刷
5.白版が印刷されていない。(スミでデータを作成するケースが多いと思いますが、カンプが無く、入稿データに明確に記載がないと、スミのまま印刷される場合があります。
6.カットラインで切られていない。(これもカンプが無く、入稿データに明確に記載がないとデータ不備となります。ガイドラインでのカットラインは原則NGです。別レイヤーに分けて名称を「カットライン」としていただくと分かりやすいです。線はシアンやマゼンタ、スミを推奨します。
カンプ(見本)作成時の注意点
PDFやJpegなど画像形式は例外としていますが、イラレ入稿の際、カンプ(見本)を作成する時の注意点をまとめました。(上記と重複する内容となります)
1.仕上がりサイズや縮小率を記載する。
2.白版があれば、その旨を記載する。
3.カットラインがあれば、線が見えるように配置し、レイヤーを分ける。
4.ホログラム印刷の場合、カンプ(見本)とは別に仕上がりイメージがあれば添付する(必須ではありません)。
5.印刷枚数を記載する。(これも必須ではありませんが、印刷工程がスムーズとなります。特に複数のご注文をいただいた時など。)
結論:カンプ(見本)を添付しましょう
以上の事から、カンプ(見本)は入稿の際、思わぬ事故を防ぐために添付をお願いしています。入稿データだけでは、正確に情報を伝えきれない場合もあります。カンプ(見本)があれば想定外の事故も防ぐ確率も上がります。
但し、入稿データ・カンプの両方とも間違えていた場合は事故を防ぐ事はできません。そのために、入稿前のセルフチェックまたは、2人以上のチェックも行う事を推奨いたします。