画像形式入稿のいろは

色彩心理を活かした応用編

異文化や時代で変わる色の意味

前回の「色彩心理に基づいた色選び」の
https://posterch.jp/html/color-psychology.html
記事に反響がありましたので、今回は、別の視点で解説をいたします。

ポスターやパネルのデザインでは、色彩心理を考慮することが効果的なコミュニケーションの鍵となります。しかし、色が持つ意味は文化や時代によって変化することがあり、それを無視すると意図しないメッセージを伝えることになる可能性があります。
今回は、色彩心理の応用編として、異文化や時代背景での色の捉え方や、ポスターやパネル印刷にどう応用できるかを解説します。

色彩心理は国によって変わる

色彩心理は国によって変わる01 色彩心理は国によって変わる02 色彩心理は国によって変わる03

色が人々に与える印象は、国や地域によって大きく異なる場合があります。たとえば、日本では白は清潔感や純粋さを象徴しますが、一部の国では白は「死」や「喪」を象徴することがあります。
このため、海外で使われる印刷物や、国内でも外国人向けのデザインにおいては、単に目立つ色を選ぶだけではなく、その地域での色彩に対する感覚を理解することが重要です。インバウンドにも関係することも。

「赤-RED」
日本では、情熱やエネルギー、祝い事を象徴する色ですが、中国では赤は「繁栄」や「幸運」を表すため、祝儀袋や結婚式の色として多用されます。一方で、アメリカでは警告や危険を意味することが多いです。

「黒-BLACK」
日本や西洋では喪やフォーマルを象徴する色とされていますが、アフリカの一部地域では、力や高貴さ、男性的な意味することもあります。
高級感、自信、洗練などのポジティブな意味もある一方、多くの国で、不幸、死、恐怖など拒絶した意味を持つ色です。

「緑-GREEN」
欧米や日本では「自然」や「平和」、「若さ」または「未熟」を表す色と認識されています。欧米ではさらに、「嫉妬」、「毒」、「不気味」とネガティブなイメージもあります。また、インドでは緑はイスラム教を象徴する神聖な色です。インドの国旗の緑はイスラム教の意味があり、オレンジ色はヒンズー教、白は「平和」を意味します。

時代によって変わる色彩の象徴

時代によって変わる色彩の象徴01 時代によって変わる色彩の象徴02

また、同じ国や文化圏内でも、時代の変化に伴って色の象徴が変わることがあります。たとえば、かつてはタブーとされた色の使い方が、今では一般的に受け入れられていることもあります。これは特に、デジタルメディアやグローバルなファッション業界の影響を受けています。

「紫-PURPLE」
一昔前は高級感や神秘性を象徴する色として、ファッションや広告に頻繁に使用されましたが、現代では少し柔らかくポップなイメージとして使われることも増えました。特に若者文化では、紫はクリエイティブでトレンドに敏感な印象を与える色になっています。
日本の食品業界では、紫色は「毒イメージ」でタブーとされていましたが、近年その印象は弱まり、使用頻度は上がっています。

「黄-YELLOW」
黄色は日本で以前から「注意喚起」の色として使われてきました。工事現場の標識や危険区域などで目立つため、安全のために利用されています。そして現在、黄色はより柔らかいイメージや「幸福感」を演出するために、商業施設や広告にも取り入れられています。
特に、子供向けの製品やファミリー向けのイベントでは、「楽しい印象」を与えるために多く使われ、以前の警告色としての使い方とは異なる新しい役割を果たしています。確かに黄色い「マスコットキャラクター」は人気がありますね。

ポスター・パネル印刷における色彩心理の応用

ポスターやパネルの印刷において、色彩心理を応用することは、効果的なデザインを生む上で欠かせません。ただし、ターゲットとする観客層がどの地域や時代の影響を受けているかを見極めることが重要です。

たとえば、海外からのインバウンド観光客が多いエリアで掲示されるポスターであれば、その文化に合った色彩の使い方を取り入れると良いでしょう。具体的には、緑や青の色調は環境問題やエコ関連のテーマによく使われますが、それが宗教的な象徴を持つ地域では慎重に検討する必要があります。
ただ、インバウンド観光客も日本の文化や価値観を認識した上で来日されるため、色には寛容であると考えます。

また、若年層をターゲットにしたデザインでは、明るく鮮やかな色使いが効果的です。紫やピンクはファッションやポップカルチャーに敏感な若者に訴求しやすい色として人気があり、ビジュアルに動きを感じさせるために使用できます。

色彩の明暗で感情を操る

色の明暗は、単に「明るい=ポジティブ」「暗い=落ち着き」といった単純な印象以上に、意識や無意識に対して驚くほど強い影響を及ぼします。例えば、明るい色は視覚的に空間を広げ、周囲に軽やかで開放的な感覚を与えます。
それに対し、暗い色は視点を絞り込み、集中力を高めたり、静けさや深みを感じさせる効果があります。ポスターやパネルのデザインでは、背景色に明るいトーンを使うと視線を引き寄せ、活気のある印象を強調することができます。一方で、暗めの色を選べば、メッセージの重みや信頼性を引き立たせ、視覚的な重厚感が増します。明暗の選択ひとつで、伝えたいメッセージの強さやニュアンスを巧みに調整できるのです。

まとめ

色彩心理を応用してポスターやパネルのデザインに反映させる際には、単なる色の選択ではなく、文化的・時代的背景、ターゲットの心理を十分に考慮することが大切です。ポスターチャンネルの印刷サービスでは、10色インクのインクジェット印刷機を活用し、幅広い色彩表現が可能です。色彩心理を活かしたデザインで、効果的な訴求力を持つポスターを作成してみてはいかがでしょうか。